離婚は結婚するときの何倍ものエネルギーが必要だと言われます。
精神的・肉体的にもつらいものですが、離婚後の安定した生活を送るためにも、
また、未成年のお子さんがいらっしゃれば、その子のためにも、離婚の条件等を
じっくり協議しておく必要があります。
お互いに離婚の意思を確認し、離婚の条件(親権や財産分与など)を話し合い、
条件面で折り合いがついたからと言って、すぐに離婚届けを役場に提出してはい
けません。
「約束したのに、財産分与や慰謝料を支払ってもらえない」、「最初のころは
月々の養育費の入金があったが、その後入金がない」など、このようなことがな
いとは限りません。
口約束ではなく、相手との約束事を公正証書にしておくことをお奨めします。
公正証書に強制執行認諾条項を付しておくと、裁判の判決と同等の効力があり、
裁判を経なくても相手の給料等を差し押さえることができます。
≪離婚協議書(公正証書)に記載すべき事項≫
1.公正証書に記載する事項
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お互いが離婚の意思があることを記載します。
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離婚後はどにらか一方の親しか親権者になれません。離婚前に親権者を決めて
離婚届に記入する必要があります。子供が複数いる場合は、それぞれに親権者を
決めます。
親権者は父親とし、子供が幼いうちは母親に面倒を見る、というように、親権者
と監護権者を別々に指定することができます。
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離婚後に子供に会わせたくないと思っても、子供に悪影響を及ぼすことがない限
り裁判所は面接交流する権利を認めています。
ですので、面接交流の回数、日時、場所、禁止事項等を話し合い記載します。
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養育費とは、未成年の子供が生活するために必要な費用(衣食住・学費・教育費
など)です。
収入の多い親から少ない親へ、子供と離れて暮らす親から養育している親へ、
資力に応じて支払うのが一般的です。
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財産分与とは、婚姻中に夫婦で築いた共有の財産を公平に分配することです。
基本は夫婦平等に権利があり、1/2ずつですが、その財産における貢献度
(寄与度)を考慮します。
名義が夫婦共有でなく、どちらか一方の名義であっても、また、どちらか一方の
収入だけで買ったとしても、これらはすべて夫婦共同ものとみなされます。
共有財産は結婚してからの預貯金、保険金、土地建物、有価証券、車、高額な
美術品や宝飾品、家財道具など、住宅ローンや借金も財産分与の対象です。
財産分与の対象外である固有財産とは、独身時代にためた預貯金、嫁入り道具、
結婚後であっても相続や贈与で得た財産は財産分与の対象になりません。
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離婚すると必ず慰謝料も問題が発生するとは限りません。
慰謝料とは相手の行為(浮気など)によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償
のことです。
財産分与とは性質が異なります。
慰謝料を考慮して財産分与の割合を決めることはできます。
慰謝料の請求ができるのは、浮気、暴力、同居・協力・扶助の義務違反、過度
の飲酒・ギャンブルなどです。
慰謝料の金額ですが、お互いが納得すればそれが請求額になります。
相場は50万~500万くらいでしょうか。
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年金分割のページを参照してください。
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財産分与や慰謝料の分割払いや毎月の養育費の支払いが滞っても強制的に支払っ
てもらえるように離婚の協議書を公正証書にし、強制執行認諾条項を記載します。
これにより支払い不履行による給料や預貯金の差押えなど強制執行手続きをす
みやかに行うことができます。
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精算条項とは、お互いにこの契約書に記載された以外の債権債務関係は無いとい
う確認のことを言います。
もうこれ以上何も請求しませんと言う約束事です
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財産分与、慰謝料、養育費等の支払、面接交渉、などの連絡のため、双方の住所
・勤務先などを知っておく必要があります。そのため、互いに連絡先を明らかに
すると言う約束をしておいた方が良いので、記載しておきましょう。 |
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2.公正証書に記載できない事項
・親権者変更の申し立てをしない
・子どもが一定の年齢になったら親権者を変更
・面接交渉権の放棄
・子どもの養育費請求権の放棄
・違法な高利の延滞金利
・その他公序良俗に反する事項
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